実装できるレベルの粒度にタスクを分解する方法
投稿日: 2025年05月17日
アプリ開発において、タスクを実装レベルまで細かく分解することは、効率的な開発に欠かせない要素です。しかし、タスクを細分化しすぎてしまうと管理が煩雑になったり、逆に大まかすぎると進捗が不明確になったりします。今回は、タスクを「実装できるレベルの粒度」に分解するための方法とそのメリットについて解説します。
1. 大きな目標を細かいタスクに分ける
まず最初にやるべきことは、実装したい機能や修正したいバグを大きな目標として捉え、その目標を細かいタスクに分けることです。大きな目標をそのままチケットにすると、タスクの進捗が見えにくくなり、作業が進んでいるのか停滞しているのかが不明確です。
例:
大きな目標:「ユーザー登録機能を実装する」
細かく分けたタスク:
ユーザー登録画面のデザイン
バリデーションの実装
APIでユーザー情報を登録する処理の実装
ユーザー登録後のリダイレクト処理
エラーメッセージの表示処理
大きな目標をこのように小さなタスクに分けることで、進捗状況が明確になり、タスクごとに集中して作業できるようになります。
2. 具体的な「やるべきこと」をリスト化する
タスクを実装できるレベルの粒度に分解するためには、何を具体的に実施するのかを明確にしておくことが重要です。「ユーザー登録機能を実装する」と一言で言っても、その中にさまざまな要素が含まれているため、具体的に何を実施すべきかをリスト化します。
例えば、バックエンドの実装をする場合でも、APIの設計、認証方式の選定、エラーハンドリングなど、細かい作業がたくさんあります。これらの作業をリスト化して「実装レベルのタスク」に分けることで、スムーズに進められます。
例:
ユーザー登録APIの実装
ユーザー情報を受け取るPOSTリクエストを作成
パスワードのハッシュ化処理を実装
ユーザー情報をデータベースに保存する
登録成功後のレスポンスの作成
エラー処理(例えば、重複ユーザーの確認)
このように具体的な作業をリストアップして、1つ1つのタスクを完了することで、目標達成に向けたステップを確実に踏んでいくことができます。
3. 「Done」基準を明確にする
タスクが完了したかどうかを確認するための基準を「Done基準」として設定することも重要です。これにより、タスクが何をもって完了とするのかが明確になり、進捗がより具体的に把握できるようになります。
例えば、単に「ユーザー登録機能を実装する」というタスクを「Done」にするのではなく、以下のように細かく設定します。
例:
ユーザー登録画面のデザインが完了し、レスポンシブ対応している
バリデーションエラーが発生した場合、エラーメッセージが正しく表示される
ユーザー登録後、正しくリダイレクトされる
登録時にAPIから適切なレスポンスを受け取る
このように、「Done基準」を事前に定義しておくことで、タスク完了の判断基準が明確になり、後で振り返ったときに何が足りていなかったのかを確認しやすくなります。
4. 見積もりを行い、適切な時間で完了できる範囲に分ける
タスクを分解する際には、それぞれのタスクが完了するまでの時間や作業量を見積もることも有効です。特に、開発が進んでいくと、「このタスクは実際にやってみると予想以上に時間がかかった」ということがあります。このような事態を避けるために、タスクを細分化する際に見積もりを行い、実際に1〜2時間で完了するような小さなタスクに分けることをお勧めします。
例:
ユーザー登録画面のデザイン(2時間)
APIの実装(4時間)
テストとバグ修正(2時間)
このように時間を見積もることで、タスクが過剰に膨らむことを防ぎ、実行可能な範囲で作業を進められます。
5. タスク間の依存関係を意識する
実装を進める際に、タスク間の依存関係を理解しておくことが重要です。たとえば、「ユーザー登録画面のデザイン」は「ユーザー登録APIの実装」が完了してから行うべきではありません。依存関係を考慮してタスクを分けることで、作業の順番を最適化し、効率的に開発を進めることができます。
例:
タスクA:「ユーザー登録APIの設計」
タスクB:「ユーザー登録画面のデザイン」(タスクAが完了後に着手)
タスクC:「APIとの連携テスト」(タスクBが完了後に着手)
依存関係を意識してタスクを並べることで、後々の作業がスムーズに進みます。
タスクを実装できるレベルまで分解することは、効率的な開発にとって非常に重要です。大きな目標を細かいタスクに分け、実施すべきことを明確にし、「Done基準」を設定することで、作業が進んでいるのか、どの部分が完了したのかを正確に把握できます。また、時間見積もりや依存関係を意識してタスクを整理することで、より効率的に開発を進められます。最初は難しく感じるかもしれませんが、このような分解を意識的に行うことで、確実に成果を上げることができるようになります。