REST設計におけるキャッシュとは?効率性とスケーラビリティを高める設計原則について
投稿日: 2025年06月13日
次のアーキテクチャスタイルはキャッシュです。
RESTアーキテクチャスタイルには、複数の制約を組み合わせることで、効率性や拡張性を実現する考え方があります。
前回は「ステートレスサーバ」に続いて、「キャッシュ」というアーキテクチャスタイルを取り上げます。
キャッシュとは何か? 利点と注意点について見ていきましょう。
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キャッシュとは、リソースの鮮度に基づいて、一度取得したリソースをクライアント側で再利用する仕組みです。
RESTアーキテクチャにおけるキャッシュの目的は、クライアントとサーバ間の通信を最小限に抑え、ネットワーク帯域の節約やレスポンスの高速化を実現することにあります。
たとえば、あるAPIから取得したデータが一定期間変わらないと分かっていれば、
クライアントは再度サーバに問い合わせるのではなく、ローカルに保持したキャッシュを再利用することで無駄な通信を省けます。
ただし、キャッシュにはリスクもあります。
キャッシュされた情報が古くなっている場合、最新データと乖離する可能性があります!
このような場合、ユーザーに誤った情報を表示してしまうリスクがあるため、適切なキャッシュ制御が重要になります!!
RESTでは、各レスポンスが明示的にキャッシュかどうかを示す必要があります。
これは、システム全体の一貫性を保ちつつも効率的なデータ配信を実現するための、設計上の制約(アークテクチャスタイル)なのです。
制約として追加することで、クライアントはサーバに依存しすぎることなく一部のデータを自己完結で処理できるようになり、システム全体のスケーラビリティ(どのサーバでも同じリクエストを処理できる)や応答性が向上します!!
キャッシュの導入により、RESTシステムは「クライアント / キャッシュ / ステートレスサーバ」という構成となります。
キャッシュは、RESTアーキテクチャスタイルの中でも、効率性とスケーラビリティを高めるための重要な制約です。
一度取得したリソースを再利用することで、サーバ負荷を軽減し、クライアントの応答速度も向上させるという、非常に実用的な設計方針といえます。
ただし、リソースの鮮度や信頼性を保つためには、キャッシュの有効期限や検証方法などの適切な運用が欠かせません。
RESTの設計原則は、単にルールを守ることだけが目的ではなく、現実の要求とアーキテクチャのバランスをとる思考法でもあります。
次回は、RESTにおけるさらなる制約である「統一インターフェース(Uniform Interface)」についてみていきましょう!!